インタビュー

2016/01/15(Fri)

松陰神社通り「マルショウアリク」 廣岡好和さん・木村勲武さん

今回は、松陰神社商店街で「マルショウアリク」(日本の牡蠣とおばんざいの居酒屋)を営む
木村勲武さんと、廣岡好和さんのお2人にお話を伺いました。

開店当時は、お店の数もまだ多くなかったという松陰神社商店街。
この地域に入り込み、お店の成長だけでなく、地域との関わり合いを大切にし、
商店街で「のみの市」を開催したりとコミュニティづくりに積極的に取り組む2人。

10月にオークラランド住宅公園で開催された「せたがや大道芸祭り」にも出店し、
来場者にこだわりの食材を届けてくれました。

今回はそんなお2人の、世田谷と、お互いに対する想いを伺いました。


~世田谷と自分~


15年前、まだぼくが19歳で大学生の時から住んでいましたね。
そのときは栃木から上京して下北沢にいました。
下北沢は様々なジャンルの様々な階層の人たちが交わる場所で、
ぼくにとって第二の故郷かなと思います。
色んな事を学ばせてもらった親や先生のような存在です。
世田谷に関して言えば、都心のような大きなビルが少なく空が広いところが好きですね。


もうかれこれ10年以上は住んでいますね。
もともとは駒沢に住んでいたのですが、住宅展示場がある桜に越してきて、
今ではすっかりこのまちの雰囲気が自分に合うようになっています。

松陰神社(商店街)は、規模は小さいものの、大手が入ってこれない穏やかさ、
ある意味では不器用なところもあって、言葉化をするのは難しいところがあるんですけど、
居てて何かとても気持ちいいんです。

それは、なんでこのひとが好きなんだろう・・・という気持ちを言語化するのが難しいのと同じことだと思うんですよね。笑

松陰神社商店街
(夕どきの松陰神社通り)

 

~アリクの誕生・成長~

大衆酒場が好きで、ずっと憧れてました。
いつかその中の人(店主)になって、家族やお客さんと歳をとりたいと思っていました。
引越しを機にこの街と出会い、友人・知人が増えていく中で、探していたモノ(いろいろな意味で)は、
ここにあったのだと実感していたんです。
縁があって、お店を始めることができたこと、街を通る人、お店を利用してくれる人、
今回のように店を離れたところで誘ってくれる人も。
当たり前のようで、そうでない毎日に一喜一憂しながら、憧れは実現していて
これを続けるためにがんばらなきゃなあ…と思ってます。

生ガキアリク 生ガキ

(廣岡さんは前職が築地の仲卸とあって、牡蠣・魚介類の仕入れも信頼ができる)

 


ヨッシー(廣岡)と知り合ったとき、当時ぼくが世話になっていた農場の存在と野菜に興味を持ってくれたことが、
アリクが今こうしておばんざいも扱えているきっかけなんです。
ヨッシーがその野菜をアリクで使いたいと言ってくれて、
その魅力をお客さんに直接伝える、食べてもらうということがぼくが求めていたことだったから、
いま厨房に立てていることがとても幸せなんです。
何よりヨッシーが野菜でも魚介でも生産者の立場に立って行動をおこしてくれると思える人だったから、
アリクを育む中でのぼくのモチベーションになっていました。


木村さん野菜
アリク おぼんざい
(木村さんが契約する茨城県石岡産の有機・無農薬野菜は、彩り美しい絶品のおばんざいに変わる)

 


アリクは『公園』みたいなものだと思っています。
露店で売ってる野菜を求めに来てくれる近所のおばあちゃんや若い親子だったり、
呑みに来てくれる会社員だったり、
観光のついでに足を運んでくれる若者だったり…

いろんなひとが集まる空間なんです。

本当に、お店の垣根を取っ払ってもいいんじゃないかと思うほど、解放され交流が生まれる自由な空間。
そして何が起こってもおかしくない場所。笑
例えば、コの字型の厨房の中に、講談家や、江戸太神楽の方を招いて、
演舞をしてもらうこともここアリクでは〝日々〝の描写なんです。
演者の方も「こんなところでやっていいの!」と、むしろこちらがやってもらうというよりも、
自発的にやる気になってくれる人たちばかり。

こういうアイデアはいくらでもあるんですけど、それがアリクと合致するかどうかというところの、
自分自身の初期衝動に耳を充てて、どんなことをここでやったら面白いかをいつも考えています。


コの字空間を使った演舞

(コの字酒場と江戸太神楽の異色の組み合わせはアリクならでは)

 


今の飲食店は料理が美味しくて接客がいいのが当たり前の時代。
アリクはもっとその根源というか、感謝すべき存在をお客さんとスタッフだけでなく、
生産者に向けていて、それをお客さんに伝えることができる空間。
それを理解してくれるお客さんが多いからこそ、
みんなの共通意識のバランスもよく隣同士で気軽に話ができる場所になっているんです。

アリク館内 お客さん交流
(店内はお客さん同士の距離が近く、常連のお客さんとのかけあいもあり、すぐに打ち解けられる雰囲気の良さがある)

 

~『せたがや大道芸祭り』と『アリク』~



大道芸は知り合いが運営やパフォーマンスに関わっているということや、
第一回目のイベントであるということが出店を決めた大きなきっかけでした。
アリクとして、お祭りどうサポートして盛り上げるかということを念頭に出店しました。

他にも飲食店が軒を連ねていたので、テントに並べる野菜で彩りを補ったり、
見るだけで買わなくてもいいというライトな店があることで飲食ブース全体に人を集めやすくなったのかなと思っています。
また、主催の方々に、今後このイベントを続けていく覚悟が見えたことが素晴らしかったです。

天気が良かったというのもそんな気持ちがあったからだと思います。
改善点や反省点もあると思いますが、何より来場してくれたお客さん、
パフォーマーや出店者が楽しめたということが次につながるのではないかと思いました。



自分は住まいが近いので、前からここで何かを出来ないかと思っていました。
このお祭りのいいところは、利益を上げに行くというよりも、そこにいたひとたちとつながって、
そこから新しい行動や発展につなげていける魅力。

なにも販売活動だけに専念するのではなく、会場にいるひとたちと交流しながら、
関係を深めていける空間にあると思います。

それは他の出店(展)者の方も感じていることかもしれません。
そうした可能尾性があったからこそ、アリクはほぼ原価に近い価格で野菜や果物を提供できました。
また来年もやるときは、ぜひ出店できればと思います!

アリク 大道芸出店
(大道芸祭りの出店で並ぶ野菜や果物は見ているだけでも楽しくなれる)

 

 

~『廣岡好和』と『木村勲武』~

木村さん・廣岡さん2



共通の友人の紹介で知り合ったんですよね。
共通の価値観と違った価値観のバランスというか、
自分が持っていなくて持ちたいと思っている感覚を持っている人だなと思います。
だから興味があって、近くで関わっていたいと思った存在。
1年半一緒に働いて相変わらず越えられない壁で、でも越えなくてもいいんだと思わせてくれる壁。
いや壁というより、大地や海といった感じの、広い存在ですね。



応援して、支えたくなる存在だと思っています。
大道芸のときぼくがあえて露店にいなかったのは、イサムくん(木村)の自発性にすべて任せたかったというのがあるんです。
彼自身のかつての農業経験から始まり、その野菜を売り、自分が作り上げたという確信を、
表現した結果を実績につなげてほしかった。

多くの人が、イサムくんが仕入れた野菜のおばんざいを食べて「おいしい」と言って、アリクのファンになってくれる。
そうした様子が、とても誇らしいですね。

~今後の世田谷(松陰神社)とのかかわり~


世田谷というと広すぎて、実はこのまちとのかかわりについてはまだよく考えられないんです。
でも松陰神社、もっと言うと、アリクに関わってくれる人たちの一人一人を大切にすることかな…と思います。
それがきっと松陰神社を盛り上げることになり、きっと世田谷を盛り上げることになるんだと思うんですよね。
そしてそれを生産者やお客さんに還元できる循環の形ができたらいいなと思っています。



例えばぼくが主催している、松陰神社商店街の「のみの市」がそうですが、
持続可能なもの、歳月を重ねてもゆっくり積み重ねていけるものをつくり上げていきたいと思っています。
大きくなくても、自分にフィットするコンパクトさの中で、
やってみたいこと、おもしろそうなことがあればすぐに形に出来る速度間がこの商店街の魅力。
そして一度ではなく、繰り返し開催していく反芻の中で、
自分がつくりあげてきたという確信を持てることが何よりの喜びなんです。

のみの市
(毎月第一日曜日に開催される松陰神社通り「のみの市」。コンパクトな空間の中で、出展者とお客さんの交流が弾む)

 

~最後に~


まだまだ産まれたてのアリク。それを支えてくれているお客さんや生産者の方々。
そんな方々との出逢い、ヨッシーとの出逢い、そして主催者との出逢いが、今回の大道芸参加のきっかけにつながったわけで、
そんなつながりを大切にし、もっと広がっていくことをお互い祝いあいたいです。



ピカソが言った言葉に

「私は捜し求めない。見出すのだ。」
というものがあります。

店にいてもまちにいても、久しぶりに昔の知人にバッタリとあうことが人生よく起こる。
でもそれはきっと自分の行動の結果に過ぎないんだなと最近実感します。
これからも、出逢いを楽しんでいきたいですね。

 

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2人の想いを今回聴くことで
松陰神社のでの人々の暮らしにもより興味がわいてきました。

木村さん、廣岡さんの今後の活躍
そしてアリクの発展を楽しみに

夕日の影たなびく商店街の通り
そこで人々が楽しく語らう一コマに
自身も入り込んでみたいと・・・そんな思いに駆られました。